ハードラック/薬丸 岳
人生をやり直したかったのだ。ネットカフェ難民相沢仁は、闇の提示板で募った仲間と軽井沢の金持ちの屋敷に押し入った。だが物色中、仁は何者かに頭を殴られて昏倒。ようやく独り逃げた彼は報道で、屋敷が全焼し、三人の他殺体が発見されたと知る。家人には危害を加えないはずが、おれは仲間にはめられた。三人殺しでは死刑は確実。正体も知らぬ仲間を、仁は自力で見つけねばならなくなった…。

本書、いわゆるネットカフェ難民だった若者が主人公の犯罪サスペンスである。
相沢 仁は失業した後、日雇いの仕事をしながらネットカフェを転々とする毎日だった。いよいよ所持金も底をつこうとしたとき、ネットの闇掲示板で仲間を集め、軽井沢の屋敷を襲う計画を立てた。
いったん社会からはじかれ転落すれば、這い上がるのが困難となる現実をはじめ、ネットを通じた匿名のつながり、どこか安易な犯行など、ここで描かれているのはきわめて現実的な犯罪の形なのかもしれない。
主人公は、信じた相手から裏切られるなど不運に見舞われるばかりか、殺人犯に仕立てられてしまう。スリリングな導入部が身に迫り、彼の運命の行方を追わずにはおれない。意外性に富んだ話運びの巧みさで最後まで一気に読ませるミステリーだ。

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