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2007年2月

2007年2月24日 (土)

果てしなき渇き(深町 秋生)

 元刑事・藤島秋弘のもとに、失踪した娘の加奈子を捜してほしいと、別れた妻から連絡があった。家族とよりを戻したいと願う藤島は一人、捜査に乗り出す。

 一方、三年前。中学生である瀬岡尚人は手酷いイジメにあっていた。自殺さえも考えていたところを藤島加奈子に救われる。彼は彼女に恋をし、以前、彼女がつきあっていた緒方のようになりたいと願うようになるが…。

 二つの物語が交錯し、探るほどに深くなる加奈子の謎、次第に浮き彫りになる藤島の心の闇。用意された驚愕の結末とは・・・?『このミステリーがすごいsign01』大賞第3回受賞作。



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 本書、さいたま市郊外のコンビニで複数の客が惨殺され、その一週間後に主人公である警備員(元刑事)の女子高生の娘が失踪したことを知る。物語は、彼の捜索行と娘の中学時代の男子同級生の身に起きた三年前の出来事が交互に展開行く。もともと危ない系だった主人公は話が進むにつれてどんどん壊れて行き、娘にまつわる邪悪な事実もあきらかになって行くというもの。



 犯罪サスペンスとしてストーリーが面白ければ良かったのですが・・・。weep ハードボイルドタッチの作りで暴力、レイプ、ドラッグと・・・残虐行為のシーンが多く、読んでいくにつれ苛立ちを募らせる筋の運びで後味の悪さだけを残していました。また、人物造形も薄く登場人物に感情移入できるキャラすらなかった程annoyです。お勧めできない最悪の作品でした。sweat01



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2007年2月18日 (日)

東京ダモイ(鏑木 蓮)

 第52回江戸川乱歩賞受賞作



 男は帰還(ダモイ)を果たし、全てを知った。

 極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。

 60年間の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した…。

 風化する歴史の記憶を照射し、日本人の魂を揺さぶる感動作sign01



 img20070218.jpg 東京ダモイ

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 本書は、戦後のシベリア抑留兵の実態を描きつつ、強制収容所内で発生した日本人将校の不可解な“斬首事件”と現代日本で起きた“ロシア人女性殺人事件”。これらの謎をシベリア当時二等兵だった老人の手記が綴られた『俳句集』を手掛かりに解き明かします。そして、シベリア、満州を合わせて30万人の死者を出したとされる広島・長崎原爆に匹敵する大惨事、シベリア抑留者の“強制労働”を風化させていいのか?また、“ダモイ”という言葉の意味を理解できるのか?を問う壮大な物語です。



 シベリア抑留を回想するシーンでの過酷な生活の描写には凄いものがありました。shine 話には聞いていましたが、ここまで過酷だったとは思っていなくて良い勉強になりました。しかし、作中に詠まれる俳句の解釈が困難で、刑事や主人公たちの謎解きもイマイチで引き込まれなかった。トリック自体にもかなりの無理が感じられました。weep



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2007年2月11日 (日)

さまよう刃(東野 圭吾)

 裁く権利は誰にあるのか?不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミにもセンセーショナルに取り上げられる。世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上がった。はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は…。



 samayou.jpg さまよう刃

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 本書では残酷な行為を犯す少年犯罪に対し、間違った道に進んだ少年を更生させる少年法の理念と被害者やその家族の怒りや、恨みを晴らしたいと云う気持ち。これらの問題を投げ掛けた作品で、被害者の父・長峰がその問いに答えを提示すると云うもの。



 冒頭から耐え難い描写が続き、娘の無残な姿を見せられて復讐に燃える長峰の心理や加害者側の家族の心理を見事に描ききっていました。また、少年らによる犯罪を取り巻く様々な状況や問題を見事に描写していて人々の苦悩が伝わってくるのが凄かったです。

 少年犯罪に関して、刑が軽すぎるという指摘や被害者側にもっと配慮すべきだという意見が増えている昨今。更生させることは重要だが、被害者の心の傷は誰が癒すのか?決して許される事ではない復讐殺人。でも、長峰の心情を汲むと、これは正解なのかも知れない……。自分(加害者に)がどれだけの憎悪を受ける行為をしたかを思い知らせてやりたくなりました。

 長峰は無事復讐を果たせるのか?ハラハラドキドキしながら読み進めていたのですが呆気ない幕切れで、少し残念でした。weep しかし、このまま終る東野圭吾ではなくラストでは……きっちりと騙されていました。flair



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2007年2月 6日 (火)

黒と白の殺意(水原 秀策)

 椎名弓彦は「殺し屋」の異名を持つ、天才的なプロ囲碁棋士。ある日弓彦は、対局で訪れたホテルで、日本囲碁協会・大村理事の死体を発見する。shock 股間と胸を刺されて絶命している彼のそばには彼の小学生の息子、啓太が呆然と立ち尽くしていた。

 容疑者は弓彦の弟・直人。IT関連の会社に勤めており、日本囲碁協会とビジネス上のつきあいがあった直人は、彼にリベートの増額を要求されたことが動機ではないかと疑われていた。その矢先、直人は大村の自宅に不法侵入した罪で拘留されてしまう。



 img20070206.jpg 黒と白の殺意

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 本書、弟・直人に掛けられた容疑を晴らすべく弓彦は、直人の会社の女性経営者・桐山千穂の協力を得て調査を開始する。その過程で日本囲碁協会の不正などを次々と発見して行き、事件を解決して行くというものです。



 随所に囲碁の対局や基礎知識が盛り込まれている楽しい展開。プロットもよく出来ていたし、主人公のキャラも立っていたので、飽きずに一気に読める作品でした。特にラストでの師匠との対決は見物でしたね~。また、囲碁界の現状や歴史が解るなど、良い勉強になりました。しかし、途中で犯人が解りかけるのは・・・少し減点ですね。



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2007年2月 3日 (土)

ブレイクスルー・トライアル(伊園 旬)

 第5回 『このミステリーがすごいsign01』 大賞受賞作。



 懸賞金1億円の一大イベント<ブレイクスルー・トライアル>に参加することを決めた、門脇丹羽。それは、技術の粋をつくした難攻不落の研究所に侵入し、制限時間12時間以内に、所定のものを持ち帰るというものだった。彼らにはそれぞれの過去があり、このイベントで優勝することによって人生を変えようと考えていた。

 ひょんなことからイベントに紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループ、保険会社の依頼で、その強盗を追う私立探偵、研究所の守りを固める叩き上げ頑固一徹の管理人、ライバル会社から派遣されたスパイチームなどが参加を表明し、それぞれ思惑を胸にイベントに集結する。侵入者を阻むため、各所に設けられた指紋、静脈、虹彩などの生体認証。さらには、凶暴な番犬や新型警備ロボットの一群など、数々の障害に立ち向かい、突破するのはどのチームなのか。



 img20070203.jpg ブレイクスルー・トライアル

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 本書、万全のハイテク警備体制に守られた難攻不落の建物に侵入できるかどうかをチームで争うセキュリティ・アタックのコンテスト。それに参加する男たちの物語でダイヤモンド強奪犯を絡ませた、金庫破りサスペンス現代版と云ったところです。



 セキュリティをどのようにして破るのか?ワクワクしながら読んでいたのですが…。銃器武装したチームが出てきたりして、余りにも現実離れした内容でリアリティに欠けていました。weep そして、シリアスなのか冗談なのかはっきりしない展開に感情移入できなかったです。然しながら、初めから冒険小説として捉え、読み終えたならば爽やかな気分になれるのではないでしょうか。shine



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