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2007年7月

2007年7月26日 (木)

生還者(保科 昌彦)

 20人以上の犠牲を出した土砂崩れから半年。4日間も飲まず食わずで生き埋めにされながら、一命を取り留めた「奇跡の生還者」が、ひとり、またひとりと不審な死を遂げていく。shock これは呪い?それとも…。



 img20070726.jpg  生還者

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  本書、山間部の旅館が土砂崩れに遭い数人が生き埋めになりながらも一命を取り留め。暗やみという状況下の中でパニックに陥った者たちの出来事と、半年後に起き始めた生還者の不審死が交互に語られている。この不審死の真相を明らかにすべく、生還者の一人である主人公・沢井が謎を探る。また、そのプロセスで人間の醜行を著した作品。

 暗闇の手が背中をなでる極上のサイコ・サスペンスとあるが・・・、前回読んだ“厭魅の如き憑くもの”のように背筋にくるものがなかった。そして、肝心のミステリーとしては・・・、内容が貧弱なのが残念だった。weep だが、主人公が少しずつ狂っていくさまや“生還者”たちの懺悔シーンの人物描写は上手かった。



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2007年7月18日 (水)

厭魅の如き憑くもの(三津田 信三)

 憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女―。そして「僕」が遭遇した、恐るべき怪死を遂げてゆく人々と謎の数々…。shock 奇才が放つ、ミステリーとホラーの禍々しい結晶、ついに昇華。



 img20070718.jpg  厭魅(まじもの)の如き憑くもの

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 本書、憑き物村、神隠し村、案山子村と呼ばれる極めて特殊で閉鎖的な村の最も曰くのある谺呀治(かがち)家の上屋を舞台にして起こった一連の怪奇事件を、作家である刀城言耶(とうじょう・げんや)が解き明かすというもの。

 谺呀治家のカカシ様の障りではないかと騒がれ、被害者には組笠と蓑、そして何かが口に押し込まれている。横溝正史を彷彿させるような事件の起き方に引き込まれてしまう。ホラー作品なので所々に背筋がゾーっとする場面が有り楽しめた。ok

 ミステリー的には伏線が多数張られていて、なかなか考えられた作品だしプロットも確りしていた。最後の謎解きのシーンでは二転三転する場面が有り探偵役の頼りなさが目立つ。これは著者の意図したことだろうか?



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2007年7月12日 (木)

長野殺人事件(内田 康夫)

 品川区役所に勤める直子が、税金の督促に行った先で預かった書類。だが、書類を預けた男・岡根は、ひと月後、長野県の遠山川で遺体となって発見される。さらに、岡根の死後、怪しい男が直子の前に現れるようになる。夫に相談した直子は、夫の友人である浅見光彦に事件の解決を依頼することになるのだが……。

 一方、岡根殺人事件を担当することになった「長野のコロンボ」竹村岩男警部は、岡根が現知事・秋吉のブレーンだったことを知り、事件に長野県が抱える深い闇があることに気づく……。



 img20070712.jpg   長野殺人事件

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 本書、田中康夫・元長野県知事をモデルに、長野オリンピック招致に関する使途不明金問題の疑惑を事件に発展させた社会派作品。

 今回もどこまでが本当の話でどこまでがフィクションなのか?を考えてしまうほど、上手く作られている。 しかし、今回は事件が起こるまでの前振りが長い。それに光彦登場までに時間をかけ過ぎている。だから今回の光彦はキャラが立ってなかったのだろう。いまひとつ物足りなさを感じる作品だった。weep



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セブンアンドワイ


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2007年7月 3日 (火)

回転木馬(柴田 よしき)

 謎の失踪を遂げた夫・貴之のあとを継ぎ、探偵となった下澤唯。十年の月日を経て偶然彼を目撃した唯は、佐渡出身の渋川さわ子という関係者がいたことを突き止めた。だが、さわ子はすでに死去し、貴之はさわ子の娘・雪と一緒にいるらしいことだけ判明した。weep 夫は唯を本当に裏切っているのか?細い糸をたぐり追跡を続ける唯は、さわ子の友人だった佐野明子のもとを訪れた。彼女はさわ子から、死の間際に雪と貴之のことを記した手紙を預かっていたのだ。明子も死の床についていたが、唯の事情を知った彼女から、手紙の内容を明かされる。どうやら貴之と雪は、人に知られてはならない事情を抱えているらしい。失踪前日に起きたホームレスの不審死と関係が?手紙を手がかりに、信州・蓼科へ向かった唯。だがそこには、貴之の目元を残す美少女―小松崎ゆいが待っていた…。shock



 img20070703.jpg  回転木馬

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 本書、『観覧車』で失踪した夫・貴之の探偵社を引き継ぎ、私立探偵となった下澤唯の物語の続編。失踪した夫を求め続ける主人公の心情と平行して、その夫捜しの途中で主人公が触れることになった女性たちそれぞれの心の襞を丹念に描かれた作品。

 失踪の謎にまつわるサスペンスは、中心的な主題ではなく、逆らいきれない運命の渦の中で懸命に岸を目指して泳ぎ続ける人々の姿が作品の要である。なかでも…愛する者を殺されたら、自分の手で復習するべきか?或いは法律に頼って自分の手を汚さず、その役割を他人に任せて克服できるのか?人の心の葛藤と悲しさを上手く描いている。そして、女性心理を切なく書き上げているところが印象に残った。



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セブンアンドワイ


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