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2008年1月

2008年1月27日 (日)

ゾラ・一撃・さようなら(森 博嗣)

 孤独で気ままな探偵・頸城悦夫(くびき・えつお)の元に、タレントで元都知事の法輪清治郎から「天使の演習」という芸術品を取り戻してほしい、という依頼が持ち込まれる。クライアントは志木真智子という、若く美しい女性。母親の貴子は法輪の元愛人らしい。しかも真智子は、今、世界的に有名になっている殺し屋の“ゾラ”が次にねらっているのが法輪清治郎だというのだ。

 法輪の本を出したい編集者であると偽って、頸城は法輪に近づくが、同時に真智子にも魅入られ、どんどんはまっていく。法輪に気に入られ、法輪邸に滞在して取材することを許可された頸城は、『天使の演習』のありかと、法輪の周囲に起きる不穏な事件の真相を探り、ゾラの殺人予告に立ち向かう。

 友人の赤城都鹿や舞台女優の水谷優衣ら、頭脳明晰で魅惑的(頸城との間に何かあるとかないとか・・・)な女性たちも活躍する、おしゃれで軽快な大人の探偵小説。



 img20080127.jpg ゾラ・一撃・さようなら

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 探偵役の主人公が謎解きをする。そして、驚愕させられる中に感動するミステリーが大好きだ。だが、本作のように登場人物の会話が洒落ていて、大人の恋愛を前面に押し出したサスペンスも悪くはない。

 本作、伏線が張られているミステリーの要素は全くない。殺し屋“ゾラ”の正体も早い時期に解ってしまう。これだと物足りなくて読んでいてもつまらない筈だが、なぜだかスラスラと読める心地よい作品だった。登場人物の中にミステリアス女性が居たからだろうか…。lovely



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2008年1月21日 (月)

顔なし子(高田 侑)

 年老いた父と同居するため、家族をつれて故郷に戻った美笹修司。その帰郷を待ちわびたように次々と発生する怪事件。恐怖のどん底に突き落とされる村。その時、修司の脳裏には、ある少年の姿が浮かんでいた…。

父・和郎が再婚相手といって突然連れてきた絶世の美女・セリと、連れ子の少年・桐也。再婚前にセリは、村の元大地主で実力者の武石貫一郎の手にかかる。愛人となったセリをいじめる貫一郎の妻やその取り巻きたち。ある日、セリは自殺をし、やがて桐也は姿を消してしまった。一連の事件は、桐也の犯行なのか。shock



 img20080121.jpg  顔なし子

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 本作、閉鎖的な小さい村で起きた悲劇を根源に村の権力者と、その子どもたちが辿る運命を描き、それに色濃く関わる家族の親と子の生き方や人の心の中の“やましさ”、“後ろめたさ”をモチーフにした作品。

 この作品ホラーとしては、全く怖くない。タイトルの『顔なし子』がもたらす恐怖を物語に生かすことが出来ていない。また、ミステリーとしても弱すぎる。事件が起こるのが終盤に入ってからというのがいただけない。物語の大半を登場人物の生い立ちや近況に占めたため、物語にスピード感がなくイライラする。起因は丁寧に描こうとしたからだろう。weep ラストでなんとか挽回はしたが、ミステリーというよりも人間ドラマといえる。しかし、終始に於いて中途半端な作品であることは間違いない。dash



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2008年1月15日 (火)

迷宮のファンダンゴ(海野 碧)

 東京・調布に自動車整備工場を構えた大道寺勉がテレビの中に見つけたのは、二十三年前、アメリカのサバイバルキャンプ時代に初めて愛を交わした女、マリアン・ドレイパーだった。

 来日中のハリウッドスターのボディガードを務めていて、大きな交通事故に巻き込まれたらしい。入院中の彼女と再会した勉だが、数日後、彼女は突然病院から姿を消した―。



 img20080115.jpg  迷宮のファンダンゴ

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 23年ぶりに再会した女性が突然姿を消してしまう。事件に巻き込まれたのか、それとも自ら姿を消したのか?彼女を探す主人公。

 本作は、その彼女を探して行くにつれ、危険な事件へと巻き込まれていくという、前作の『水上のパッサカリア』同様のハードボイルドタッチの作品に仕上がっている。続編ということだが、主人公と愛犬が引続き登場するだけで独立したストーリー展開になっている。

 前作に比べ引き込まれるところがなかった。主人公はイマイチ立ってなかったし、強いのか?弱いのか?解らない。著者は、この方が人間味があって良いと思ったのかもしれないが、矛盾点が多々あった。それと描写にこだわったためか、話しの腰を折ってしまうところがあり、内容に緊迫感がなく面白さに欠けていた。weep



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2008年1月 2日 (水)

メディア・スターは最後に笑う(水原 秀策)

 瀬川恭介は史上最年少でショパンコンクール優勝を果たした天才的なピアニスト。ある日恭介は罠にハメられ、殺人事件の第一容疑者となってしまう。伝説のピアニストによる殺人事件、しかも被害者は国民的人気の美少女ピアニストという、センセーショナルな話題は、マスコミの恰好のエサとなる。記者たちが、インパクト優先の記事作りに夢中になるなか、元女子アナウンサーの相沢奈緒は、真実を求めて奔走するが…。



 img20080102.jpg メディア・スターは最後に笑う

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 身に覚えのない殺人事件の容疑者となった、主人公の天才ピアニスト・瀬川恭介。メディアによって『犯人』に仕立て上げられながらも、自分の潔白を晴らし、真犯人を見つけ出していく。

 本作、前作と同様に癖の無い文体とリーダビリティに満ちた展開に仕上がっている。何よりも主人公のキャラも立っていて、飽きずに一気に読める作品だった。そして、メディアの怖さを痛感させられる作品でもあった。

 難を云えば、ミステリーのインパクトの弱さが挙げられる。ラストでの謎解きのキレの鈍さが目立ったし、伏線や真相に至る手掛かり等が幾分弱い感じがした。とはいえ、エンターテイメントとして読めば楽しい作品に仕上がっている。

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