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2008年3月

2008年3月29日 (土)

愛が理由(矢口 敦子)

 閉め切った部屋で火鉢を使い、携帯を握りしめ笑顔で死んでいった親友の美佐子。死の真相を追う麻子の前に現れたのは、少女と見間違えるほどの美貌の少年・

 美佐子の甥の友人で、美佐子とも面識があり、学校で密かに流行っているらしい「心中ゲーム」のことを麻子に教えた。それは、年上の女性を巧みに誘惑し、心中を持ちかけて相手だけ死なせるというものだった・・・。



 img20080329.jpg  愛が理由

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 友人の死に不審を抱いた主人公が、死の謎を解き明かすべく行動する。そのうちパートーナーとなる人物が現れ、心惹かれてしまう。共に真相を追うこととなるが、謎は深まるばかりで、次第に主人公自身も渦中に巻き込まれ困惑していく。おまけに真犯人は心惹かれた相手だった。ということはよくあるプロットだ。

 本書の場合も同じようなプロットではあるが、女同士の友情、そして大人の女と少年の恋愛を上手く噛み合わせたサスペンス仕立てになっている。しかし、内容的にはイマイチ。主人公が回想するシーンがやたらと多いのにはウンザリさせられる。また、死の直前に見違えるように美しく、生き生きと変身していった美佐子や主人公の麻子が、美貌の少年・泉と出合ったことにより美しくなっていく態が伝わってはくるが、麻子のミイラ取りがミイラになってしまうところはイタダケない。ラストでも麻子が混乱し追い詰められていく様子は理解に苦しむ。女性の目線で読めば良かったのかもしれないが…、どうも消化不良を起こしたようで満足感は薄いものだった。weepこの作品、明らかに女性向である。



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2008年3月23日 (日)

過去からの手紙(岸田 るり子)

 一週間の沖縄合宿から帰ってきた純二。久しぶりの我が家で待っていたのは、奇妙な置き手紙と、腐ってもいないのに捨てられたシチュー用の肉、そして、数日前から母親が家に帰っていないという事実だった。

 ひとつひとつは取るに足らない、小さな違和感が積み重なっていく。それが不安に変わるころ、母が発見された。記憶を失って…。知れば知るほど不可解な母の行動と、増殖していく謎。

 美人だが、いつも一言多い幼なじみの静海の力を借りて、純二は母が失った空白の過去をたどる決意をする…。

 京都の町を自転車で駆けめぐる、個性豊かな高校生たちの活躍が楽しい、爽やかな青春ミステリー。



 img20080323.jpg  過去からの手紙

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 主人公の静海は、個性的な父親を持ったがゆえ、ノリが悪く、理屈で周りをやりこめ、幼なじみの純二にもうんざりされている。それでいて、本人は客観性に欠け自分のことはよく見えていない、愛嬌のある女子高校生。著者によれば、最近の人は物事を深く考えずに、簡単に情報に流されてしまいがち。そうじゃなく言葉の意味をよく考えて、つっかかってしまう不器用な子を登場させてみたいという、最近の若者を危惧した想いから主人公の静海を描いたらしい。

 本作は、今までとは違ったキャラクター作りになっていたし、純二静海の微妙に相手を意識した内面描写は見事だった。それから、作品の中で楽しそうに料理を作っているシーンの描写も良く、若者たちのワクワクした気持ちが伝わってくる。どの料理も美味しそうで食べたいという気持ちにもなってしまう。

 また、今回は「ミステリーYA!」からのリリースということで、ミステリーというよりも若々しい二人が繰り広げる青春ドラマという感じで読んだ方が楽しめる作品である。



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2008年3月16日 (日)

流星の絆(東野 圭吾)

 惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」14年後――彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。

 この小説は私が書いたのではない。登場人物たちが作りだしたのだ。」――東野圭吾

 息もつかせぬ展開、張り巡らされた伏線、驚きの真相、涙がとまらないラスト。すべての東野作品を超えた現代エンタメの最高峰。



 img20080316.jpg  流星の絆

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 洋食店『アリアケ』の子供たち3人の兄妹は、幼い頃ペルセウス座流星群を観るため深夜に家を抜け出す。彼らが帰宅して目にしたものは、無残にも刺し殺された両親の姿だった。店の裏口から出ていく怪しい人影を目撃した泰輔は、警察に人相を告げるが、犯人特定は難航し、時は流れる。

 14年後、3人は詐欺師として生計を立てるようになっていた。彼らは最後の仕事として、レストランチェーン『とがみ亭』の御曹司に偽のダイヤモンドを売りつけようと画策するが、その過程で時効が残り1年と迫っている両親殺害事件の手掛かりを得る。彼らは詐欺ではなく、両親の仇を討つことを決意する。

 彼らは、犯人を暴くため証拠を捏造し警察を誘導する。しかし、大きな誤算が生じる。妹が容疑者の息子に心を奪われてしまう。両親の仇を討とうという気持ちと妹の気持ちを思いやる兄達。彼らの思惑は何処へ辿り着くのだろうか…?

 本書、警察の視点と詐欺をはたらく兄妹の視点、両者の立場と感情を平行して描いた警察ミステリー、その中に“絆”で繋がれた兄妹愛を盛り込んだ感動作品である。飽きることなく一気読みさせられる作りは東野ワールドそのものsign01 伏線の張り方は最高だしok ラストの感動は鳥肌ものだ。

 終盤、刑事役に扮する場面で加賀刑事を使うところは、流石にニクイなぁ~。

 

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2008年3月 9日 (日)

心霊探偵 八雲7「魂の行方」(神永 学)

 晴香が教育実習で出会った少年、真人から届いた一通の手紙。楽しい毎日を送っているはずだったのだが、綴られていたのは「助けてください」という悲痛な想い。そして一枚の写真が同封されていた。そこに写っているものを見た八雲は急いで行動に移す。

 長野・戸隠へと向かう八雲、晴香、後藤の3人を待ち受ける今回の事件とはsign01?



 img20080309.jpg  心霊探偵 八雲7

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 蕎麦の産地で有名な長野県戸隠を舞台に、神隠しに遭ったとされる少女を探しに行く八雲たち。その地には『鬼女紅葉の伝説』が存在し、45年前に起きた鬼女騒動と21年前に起きた二人の男性の惨殺事件があった。shock

 本作、この2つの事件の真相を解き明かしていく過程で、蔑み、憎み、畏怖する人間の醜い部分を出し表している。また、舞台となった戸隠は、過去のシリーズの中で張られている伏線により全てが繋がった形になっていた。そして、事件解決と共に八雲の出生に纏わる秘密が明らかにされることに…。

 今回は後藤と石井は別行動だったため、ドツキ漫才がなかったのが少し残念 weep だった。でも石井の相変わらずのドジっぷりは健在だ。あと、今後の八雲と晴香の関係が気になるのだが・・・、どのような展開になるのか楽しみである。



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2008年3月 2日 (日)

首無の如き祟るもの(三津田 信三)

 奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか―。shock



 img20080302.jpg 首無の如き祟るもの

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 戦中戦後の古い因習に縛られた村を舞台に、旧家の跡取りを巡る斬首死体の連続殺人事件が起きる。伝承、呪術、儀式、祟り、と横溝正史を彷彿させるような巧妙で緻密な本格推理作品に仕上げられている。

 『厭魅の如き憑くもの』『凶鳥の如き忌むもの』に続く、刀城言耶(とうじょう・げんや)シリーズ第三弾となる本作、ホラー要素はかなり後退しているものの、前作に比べるとトリックも然ることながら、二転三転する謎解きには驚かされる。これも緻密に考えられた伏線の張り方にあるのだろう。そして、ラストの大ドンデン返しには感服させられる。

 しかし、読み易さという面では多少難があるかな・・・。weep



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