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2008年5月11日 (日)

狐火の家(貴志 祐介)

 長野県の平和な農村で殺人事件が発生。一家が松本の親戚宅に出かけている間、一人残った中学3年の長女が自宅で殺害されたのだ。強い力で突き飛ばされて、柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われた。現場は、築百年は経とうかという古い日本家屋。玄関は内側から鍵がかけられた密室状態。第一発見者の父親が容疑者となり、青砥純子が父親の弁護にあたる。純子は、防犯ショップの店長、榎本径を現場に呼ぶ。この男、本職は泥棒としか思えないが、推理の冴えは抜群だった。



 img20080511.jpg  狐火の家

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 ホラー作品を次々と発表していきた著者。本格ミステリーは『硝子のハンマー』に続き二作目で、前作同様女性弁護士・青砥 純子榎本 径のコンビが活躍する。

 長野県の日本家屋で発生した事件を描く表題作など、四編のストーリーはいずれも密室がテーマ。榎本は“裏の顔“として泥棒の肩書きを持つこと暗示されているが、純子と協力して謎を解く探偵役として活躍し、物語の中で実在する泥棒の手口の一端も明かす。

 泥棒への備えに対する正しい知識は、まだまだ一般の人たちには浸透していない。本作を読みことで、泥棒が半歩先を歩んでいるという現状を認識しておきたいものである。

 とはいえ、作品はあくまでもエンターテイメント。ミステリーでは、とかく人が死んでしまうことが多いなか、本作はユーモアを極力多く入れ、甘口になるよう心掛けられている。それと、本作では登場人物に対する新たなキャラ付けにも成功し、謎解きと異なる角度の楽しさも増えた。



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