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2008年6月

2008年6月28日 (土)

義弟(おとうと)/永井 するみ

 スポーツインストラクターの克己と弁護士の彩は、血の繋がりのない義理の姉弟。成人した今、克己の彩に対する感情は、姉以上のものになっていた。そんな中、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが…。shock



 img20080628.jpg  義弟(おとうと)

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 母の死や無理解な父との確執、義姉への負い目など、深い悩みと激しい暴力衝動をもてあましていた克巳。忌まわしい過去をひきずっていた彩。ふたりは事件のあとも不安を抱えつつ、お互いを頼りにして生きてきた。然し、島岡の死に関係する幾つかの不可解な出来事がふたりを追い詰めていく。

 本作は、血の繋がっていない姉弟の危機とその切迫した状況の推移がサスペンスフルに展開していく。個々のエピソードが丁寧に描写されているため、心の機微やとっさの行動について不自然さがない。まるで自分の身に起きた悲劇のように読み進んでいってしまう。また、家族や恋愛の形が複雑だったり不確かだったりする現代ならではの要素を多くそなえている作品である。

 だが、サスペンスとして捉えると不完全燃焼のような読後感に見舞われる。帯には“衝撃のサスペンス”と書かれているが、恋愛小説に近い家族小説とすべき作品に思う。



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2008年6月22日 (日)

虚夢(薬丸 岳)

 愛娘を奪い去った通り魔事件の犯人は「心神喪失」で罪に問われなかった。運命を大きく狂わされた夫婦はついに離婚するが、事件から4年後、元妻が街で偶然すれ違ったのは、忘れもしない「あの男」だった。

 不起訴処分となった通り魔犯と街で遭遇したといい、過去からの苦しみに苛まれて、不可解な言動を強めていく元妻。彼女が見たのは、本当にあいつなのだろか。元夫にできることは、ひとつしかなかった。



 img20080622.jpg  虚夢

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 『天使のナイフ』で少年犯罪を、『闇の底』で性犯罪を扱った著者。3作目となる本作は、“心神喪失”の通り魔犯に娘を殺された夫婦の憎しみを通して犯罪者の精神鑑定に対して問題提起している。

 心神喪失の青年が12人を殺傷する事件が白昼起きた。青年は精神鑑定で統合失調症と診断され、不起訴処分となる。この事件で幼い娘を失ったフリーライターの三上、精神病院から退院した犯罪者の青年と心を通わせるキャバクラ嬢、この事件が原因で精神を病み三上と離婚した佐和子の現夫。この3人が視点人物となり、それぞれの立場から描かれる構成が巧みで、ぐいぐい引き込まれる。

 人を殺めたり、ものを盗むといった犯罪行為を行えば、法律に従って罰を受けるのは当然である。だが、このような罰を受ける場合には、その人物が責任を持てることが前提とされる。然し、『心神喪失者の行為は、これを罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する』という刑法三十九条の存在で、人を殺傷した犯罪者が裁判にかけられることもなく、また刑務所に行くこともなく、措置入院だけで数年後には社会に戻ってこられるという現実。被害者や遺族が不起訴不当を申し立てたとしても、犯罪者が精神病であったならば検察側は起訴を見送るという。これでは、被害者や遺族は納得できるはずもない。まったく司法には絶望させられる。angry

 本作では、犯罪者が精神病を患っていたために不起訴という、理不尽な実情に屈しなければならなかった元夫婦の心情が痛いほど伝わってくる。つい最近、秋葉原で起こった無差別殺傷事件と重ねてしまうほど、深く考えさせられる作品で良かった。だが、ミステリーとしては残念ながら今ひとつ・・・、という感が否めなかった。weep



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2008年6月14日 (土)

めぐり会い(岸田 るり子)

 自分に自信がなく、家柄だけが取り柄だった華美は、見合いでひとまわり年上の医師と結婚したが、夫には長年の愛人がいて、鬱々とする毎日だった。

 ある日、ふとしたことから手に入った他人のデジカメの画像を見るうちに、華美はその中の見知らぬ美少年に惹かれていく。熱い感情を抑えきれず、画像から少年の家をつきとめた彼女は、そこで彼の恐ろしい犯罪を見つけ出してしまうが…sign01?

 愛されず、自立もできない無力な女が、「運命の出会い」をきっかけに変貌していく姿と、その驚くべき結末を描いた、奇跡のラブ・サスペンス。



 img20080614.jpg  めぐり会い

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 親に薦められ見合い結婚をしたが、愛情のない生活に疲れていた華美。妄想癖のある彼女が、十歳ほどは離れているとおぼしき年下の美少年に恋をする。一方、美少年は十年後、売れっ子ミュージシャンになってはいたが、鬱々たる日々を送り思いは過去へと遡っていくという。二つの章が交互に語られていく。

 著者が描く京都の町並みの描写は、今更いうまでもなく優れているが、それにも増して前作の“過去からの手紙”にも随所に描かれている料理の描写は秀逸である。特にムール貝を調理する場面での描写は、今にも美味しそうな香りが漂ってきそうで、思わず涎が出そうだった。

 今回の作品は、ミステリ的要素があまり強調されていない。少し残念ではあるが・・・ weep。 然し、“謎”と“事件”を巧みに取り入れ、読む者を飽きさせない作りになっている。なにより、ラストで明らかにされる劇的な出会いについて語られたとき、読者は著者に騙されていたことに気付くだろう。“天使の眠り”もそうだったが、騙されていたことに愕然とさせられ、『やられたぁ?』って感じで楽しめる作品に仕上がっている。



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2008年6月 7日 (土)

小ぶりな春烏賊

 今日、奥野君と杉本君、そして、宮本君の4人で播磨灘の某所へ向け車を走らせた。cardash 4時頃、釣り場へ到着したのだが、凄い数の車である。ここは、春烏賊で有名なポイント。入ることができるのか心配したが、思ったほどエギンガーの姿はなく、難なく入ることができた。

 暗闇の中、早速キャストする。潮の流れが速い。日本海とは比べ物にならないくらいだ。もうすぐ夜が明けるが、この潮で果たして釣ることができるだろうか…。少し不安…。gawk

 夜が完全に明けた。未だにバイトがない。ヤバイ。丸ボウだろうか…、と考えていると潮の流れが緩やかになってきた。暫らくすれば潮が一時止まり、潮の変わり目がくるsign01その時が勝負だ。

 周りでポツポツと上がり始めた。地合い到来か~、気合十分 戦闘開始モード全快。

 そして…遂にきたぁ~“グィ~”。“グィ~ングィ~ン”ではなく、“グィ~”だ。これは小さいぞ~。引き寄せると、ギャフがいらないくらいのサイズ。これなら“抜ける”と思い…抜きにかかる。 (この判断が間違いだった。sweat01) この時、烏賊から墨噴射攻撃 を受けてしまった。お陰で衣類が墨だらけに…最悪だ。annoy帰ったら嫁さんに怒られる~。weep



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あげてみれば、500gほど。小さいが食べごろサイズだし、丸ボウは免れたので“ヨシ”とすることに。

 着替えた後、気持ちを新たにキャストするが、後が続かない。いつものように…。(-_-メ)

暫らくて潮が反対方向へと流れ出した。横を見ると杉本君の竿が弘を描いている。まぁまぁのサイズのようだ。あげてみれば、800g。キロアップならず。残念。 weep



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時間も過ぎ、8時になろうとしている。そろそろ、帰ろうかと考えていた時、またもや潮の流れが緩やかになってきた。これはチャンスと思い、気合を入れキャスト。

 潮が止まりそうになった時、“グィ~”。またもや“グィ~ングィ~ン”ではなく、“グィ~”だ。1杯目と同じようなサイズだが、今回はちゃんとギャフを使いあげることに。

 この後、暫らく粘ったが誰の竿にもアタリがなく、竿を畳むことに。

 釣果としては、500gクラスが2杯、杉本君が800gを1杯、計3杯だった。

 今日は、なんとなく小ぶりな春烏賊デー。

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2008年6月 3日 (火)

山魔(やまんま)の如き嗤うもの(三津田 信三)

 山魔に嗤われたら…終わり。忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。惨劇はそこから始まる。あたかもそれは六地蔵様の童唄のようだった。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろうじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者…。「あかじぞうさま、こーもる」そして……。消失と惨劇の忌み山で刀城言耶が「見た」ものとは…。怪奇幻想作家・刀城言耶シリーズ第四弾。



img20080603.jpg  山魔(やまんま)の如き嗤うもの

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 物語は、郷木靖美(ごうき・のぶよし)が書いた『忌み山の一夜』と題された原稿から始まる。ここでは“忌み山”に対する恐怖心が上手く描写されていて、ホラー的要素はここに集約されていると云ってもいいだろう。不可抗力とはいえ、郷木靖美が忌み山を侵してしまったことが、この禍々しい事件の発端となり、一家消失事件を皮切りに、六地蔵様の童唄になぞらえた連続殺人事件が起こる。

 ラストでは、刀城言耶の謎解きが披露される。これがまた、お決まりの二転三転、最後には大ドンデン返しときている。緻密に考えられた伏線の張り方や、それを収束するテクニックはお見事sign01 登場人物の名前と地名の読み辛さは依然残るものの、今まで以上に惹き込まれる作品だったのはいうまでもない。



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ASICS FAMILY CLUB  アシックスファミリークラブ

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