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2008年6月14日 (土)

めぐり会い(岸田 るり子)

 自分に自信がなく、家柄だけが取り柄だった華美は、見合いでひとまわり年上の医師と結婚したが、夫には長年の愛人がいて、鬱々とする毎日だった。

 ある日、ふとしたことから手に入った他人のデジカメの画像を見るうちに、華美はその中の見知らぬ美少年に惹かれていく。熱い感情を抑えきれず、画像から少年の家をつきとめた彼女は、そこで彼の恐ろしい犯罪を見つけ出してしまうが…sign01?

 愛されず、自立もできない無力な女が、「運命の出会い」をきっかけに変貌していく姿と、その驚くべき結末を描いた、奇跡のラブ・サスペンス。



 img20080614.jpg  めぐり会い

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 親に薦められ見合い結婚をしたが、愛情のない生活に疲れていた華美。妄想癖のある彼女が、十歳ほどは離れているとおぼしき年下の美少年に恋をする。一方、美少年は十年後、売れっ子ミュージシャンになってはいたが、鬱々たる日々を送り思いは過去へと遡っていくという。二つの章が交互に語られていく。

 著者が描く京都の町並みの描写は、今更いうまでもなく優れているが、それにも増して前作の“過去からの手紙”にも随所に描かれている料理の描写は秀逸である。特にムール貝を調理する場面での描写は、今にも美味しそうな香りが漂ってきそうで、思わず涎が出そうだった。

 今回の作品は、ミステリ的要素があまり強調されていない。少し残念ではあるが・・・ weep。 然し、“謎”と“事件”を巧みに取り入れ、読む者を飽きさせない作りになっている。なにより、ラストで明らかにされる劇的な出会いについて語られたとき、読者は著者に騙されていたことに気付くだろう。“天使の眠り”もそうだったが、騙されていたことに愕然とさせられ、『やられたぁ?』って感じで楽しめる作品に仕上がっている。



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