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2008年9月

2008年9月28日 (日)

耳をふさいで夜を走る/石持 浅海

 並木直俊は、決意した。三人の人間を殺す。完璧な準備を整え、自らには一切の嫌疑がかからないような殺害計画で。標的は、谷田部仁美、岸田麻理江、楠木幸。いずれ劣らぬ、若き美女たちである。倫理?命の尊さ?違う、そんな問題ではない。「破滅」を避けるためには、彼女たちを殺すしかない…!!しかし、計画に気づいたと思われる奥村あかねが、それを阻止しようと動いたことによって、事態は思わぬ方向に転がりはじめる…。本格ミステリーの気鋭が初めて挑んだ、戦慄の連続殺人ストーリー。



 img20080928.jpg  耳をふさいで夜を走る

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 主人公の並木直俊は、以前から三人の女性を殺そうと考えていた。その完全犯罪計画は、彼のなかではまだ中期目標だったというのに、不測の事態が勃発し、どうしても夜明けまでに三人を殺害しなければならなくなった。彼女たちが「覚醒」して災厄を招く前に、とにかく殺さなければならないと並木は思い込む。「覚醒」とはなにか、物語が進むにつれて徐々に明かされることとなる。shock

 本書、冤罪被害者支援団体という一種の閉域で起きる事件である。犯罪者の身勝手さに焦点をあて、殺人に快楽を覚える男を主人公にしている。読み進めるうちに、精神が歪んでいると感じられるのは、連続殺人に邁進する主人公の並木ばかりではない。標的にされる女性たちや、その恋人たちの考えかたにも普通ではない印象を受ける。命を狙われる三人の若い女性は、いずれも父親が冤罪を負わされたまま死んだという共通点を持っているが、連続殺人に走る並木の視野の狭さをテーマにしているため、作中では冤罪問題に関して社会的な考察が展開されることはなかった。weep



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2008年9月21日 (日)

誘拐児/翔田 寛

 第54回江戸川乱歩賞受賞作



 終戦翌年の昭和21年、幼児誘拐事件が起きた。だが、身代金の受け渡し場所の闇市で、警察は犯人逮捕に失敗。物語はそこから始まる。15年後、再び事件は動く。生い立ちに疑問を持った青年とその恋人は過去につながる道を必死で探し求め、そこに妙な殺人事件が絡む。悲劇と希望、非情と愛情が交錯する。やがて姿を現す真犯人。新進作家によるスピード感あふれる展開が、読む側の緊張を持続させる。



 img20080921.jpg  誘拐児

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 本書、戦後間もない昭和21年に闇市で発生した大胆不敵な誘拐事件から始まる。『誘拐』ものは、身代金の受け渡し方が要で、意表を突きいかにして身代金を手にするか。これが肝心で、ラストに持ってくるのが普通だ。ところが、本書では冒頭に受け渡し場面を持ってきている。そして、身代金をどのような手を使って奪われたのかを明かさないまま物語は進んでいく。そこから一気に引き込むあたりが実に上手い。

 著者は既にプロの作家として活躍されているだけに、ストーリーや描写が安定している。殺人事件を追う刑事、自分の生い立ちを探ろうとする主人公の行動も自然で物語に入り込みやすく、場面転換も巧みで飽きさせないものになっていた。だが、ラストでは誘拐犯と身代金の受け渡しが明らかにされるが、期待した程でもなく肩透かしを食らった印象は否めなかった。weep



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2008年9月14日 (日)

最悪の秋烏賊(その2)

 昨日、先々週のリベンジを果たすべく奥野君と共に京都府京丹後市へ車を飛ばした。cardash

 2時間程の道中、ずっと雨が降っていたが、現地に到着した頃にはあがり無風状態。前回とは違い絶好のコンディション。俄然、釣捲くりモード全開である。

 早速、キャストしシャクる。直ぐに烏賊ちゃんが抱いてきて、テンポ良く釣り上げる。烏賊ちゃんは、前回よりも一回りは大きくなっており、そこそこ引いてはくるがサイズが上がらない。そうこうしている間に烏賊ちゃんの姿が見えなくなり、敢え無くこのポイントを断念し移動することに。



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 次のポイントでも始めはテンポ良く釣れるのだが、時間が経つと烏賊ちゃんの姿が消えてしまう。仕方なく次のポイントへと移動する。今回の釣り場は磯場をメインに攻めている。これが最悪の事態を生んでしまった。shock 地磯を移動中、足元が滑ってしまい転倒してしまったのである。しかも、短パン、素足にサンダルという格好だったため、左足膝を斬り、右足人差し指の爪を剥ぐという怪我をしてしまった。とり合えず止血を施し何とか歩ける状態にしたが、釣りの続行は不可能。時間は、まだ昼を少しまわった頃だけど、奥野君には悪いがここで竿を畳むことに。

 釣果は、まずまずの24杯。だが、そんなことより年甲斐もなく怪我をして、友人に迷惑懸けたことが情けない。sweat01 今回の釣行で自分に言い聞かせた事は、『釣りをする時は長ズボン、長靴または靴に限る』ということ。

 怪我をするときは、するが極力軽減するようにしなければならない。できれば、危なそうな場所(地磯)での釣りは止めることだろう。しかし、烏賊ちゃんの釣果が減ってしまうだろう。これでは釣行の意味がなくなってしまう。難しい選択肢だが shock 取り敢えずは、気を付けるしかないか…? そして、暫らくは大人しくしておこう…。weep

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2008年9月 7日 (日)

カラスの親指/道尾 秀介

 詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて 同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは…。



 img20080907.jpg  カラスの親指

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 詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得ること、または他人にこれを得させることにより成立する犯罪のこと。メディアなどであらゆる詐欺の手口が紹介され、対策等を講じられているにも関わらず、未だに騙される人が後を経たない。いい例が“オレオレ詐欺”である。現に今でも被害者が出ているらしい。騙す方が悪いのか?それとも騙される方が悪いのだろうか?

 本作、“詐欺”を生活の糧としている二人の中年男性が、過去に犯した罪への報復に脅えながらも、生きるために詐欺行為を繰り返していく。そんな二人の共同生活に、突然十八歳の少女が舞い込んでくる。家族を失った二人が再び“家族”を知り、ついに過去と決別すべく奔走する!裏社会を舞台に繰り広げられる頭脳戦。心理的に騙されやすい詐欺の手口を取り入れ、“家族”をテーマにコミカルで楽しく、それでいてあらゆる所に伏線が散りばめられた一気読み間違いなしの作品である。

 そして、何より騙されていたのは、他ならぬ読者だろう。“サプライズマジシャン”の異名をとる道尾秀介ならではの出来だsign01

 

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