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2010年2月11日 (木)

Fの悲劇/岸田るり子

 絵を描くことが好きな少女・さくらには、不思議な力があった。空想で描いたはずの場所や物が、そのまま実在しているのだ。ある日描いたのは、月光に照らされ、夜の池に浮かぶ美しい女性の姿。大人になったさくらは、祖母から叔母の話を聞いて愕然とする。女優だった叔母・ゆう子は、20年前、京都の広沢池で刺殺されたというのだ。その死の様子は自分が昔描いたあの絵とそっくりである。さくらは、ゆう子が当時下宿していたというペンションを捜し出し、部屋を借りて叔母の死の謎を探ろうとする。次第に明らかになるゆう子の凄絶な人生。そして驚くべき死の真相とは……?

F

 本作、映像記憶の能力を持つ主人公・さくらが、不可解な死を遂げた叔母の死の謎と、叔母の死とともに失踪した赤ん坊の行方を探すシーン、それと女優だった叔母・ゆう子のシーンが交互に語られていく。この二つのシーンが最後にどのような交わりを見せるのか、期待しながらページを捲り、読む進めて行きたくなる。京都を舞台に真相を追う姪に意外な展開が待ち受ける愛と絆を描いた作品である。
 この作品には叔母の死と赤ん坊の行方の二つの謎があるが、同じ比率で進んで行く。この二つの謎を解く暗号めいた遣り取りなど、伏線へと転じるあたりは実に上手い。ただ、不可能犯罪を織り交ぜた割にはミステリーとして捉えると、少し弱い感じがする。

Stars35

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