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2010年3月 6日 (土)

罪火/大門 剛明

 昨年、横溝正史ミステリ大賞を『雪冤』で受賞した著者が早くも第2作を発表した。『罪火』は、前作に勝るとも劣らない社会派ミステリーである。
 事件は、伊勢神宮奉納全国花火大会の夜に起こった。派遣社員の若宮忍は、中学2年生の町村花歩を殺した。しかし、警察が逮捕したのは別の人物だった。花歩の母親である町村理絵は、娘の事件を追い続け、ようやくその真相に辿り着いたのだが・・・。
 人は罪を本当に許すことができるだろうか。自ら犯した罪を心から悔い改めることはできるのか。

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 本作で扱われている社会的なテーマは、修復的司法というもの。犯罪の被害者と加害者が話し合うこと(VOM)により問題の解決を図るという試みである。そのVOMの仲介者だった町村理絵は、娘が殺されたことで自分も被害者の立場に立たされてしまい苦悩する。一方の若宮忍は、少年時代に殺人を犯した過去があった。
 事件当事者の和解、加害者の更生など、登場人物それぞれの過去と現実が描かれ、人間模様が絡み合いながら、驚くべき結末に辿り着く。複雑な心理や人間の裏側も巧みに物語に取り込まれている見事な作品だ。

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