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2011年2月

2011年2月26日 (土)

悪意/東野 圭吾

 4件目。刑事になった理由。

 人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。第一発見者は、妻の理恵と被害者の幼なじみである野々口修。犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは。人ななぜ、人を殺すのか。超一流の "Who and why done it" によってミステリーの本質を深く掘り下げた東野文学の最高峰。

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 本書の構成は、語り部となる二人の人物による手記と記録とが交互に著され、ある事件の奇怪な様相が次第に浮き彫りにされていく仕掛けである。真実と思ったものがそうではなく、虚偽と断じられたものが真実となり、読者は何度も騙され、肩すかしを食らいながら翻弄されることなるが、本書の持つ雰囲気はむしろ暗い墨色が滲んでいくように淡々として静かに怖い。

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2011年2月11日 (金)

どちらかが彼女を殺した/東野 圭吾

 3件目。容疑者は二人。

 最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の”現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

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 本作の面白いところは、件の謎を解明する様々な伏線、情報が散りばめられているにもかかわらず、真犯人が明かされないところにある。容疑者は二人、かつての恋人か、その恋人だった男を略奪した親友のどちらか。
 被害者の兄で警官の和泉康生は、復讐を誓い事件を追うために他殺の痕跡を現場から消した筈だが、警察内で唯一自殺に懐疑的な立場を貫く加賀の追及にあうが、結局、明確な答えが明記されないままで終わる。丁寧にヒントを追うことができれば犯人はどちらかはっきりするのだが、読者に推理を委ねることでミステリーの面白さを引き出した作品といえる。

Stars40

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2011年2月 5日 (土)

眠りの森/東野 圭吾

 2件目。刑事人生、最大の試練。

 美貌のバレリーナが男を殺したのは、ほんとうに正当防衛だったのか?完璧な踊りを求めて一途に稽古に励む高柳バレエ団のプリマたち。美女たちの世界に迷い込んだ男は死体になっていた。
 若き敏腕刑事・加賀恭一郎は浅岡美緒に魅かれ、事件の真相に肉迫する。華やかな舞台の裏の哀しいダンサーの悲恋物語。

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 華やかな世界のなかに複雑な思惑が絡み合うバレエ団のなかで起こった事件に取り組むのは、『卒業』に登場した加賀恭一郎である。教師を辞めて刑事となった加賀が探偵役をつとめる本格推理としての趣向に、彼の新たなラヴ・ロマンスも交錯して物語は展開していく。
 本作『眠りの森』では、作中に犯人が仕掛けるトリック、毒殺方法とかアリバイといったトリックとあわせて、著者が読者に仕掛ける小説上のトリック、いわゆる叙述のトリックが用いられている。また、この『眠りの森』のラストでは、真相の解明といった推理小説としての解決以上に、余韻を残す印象的なものとなっている。加賀恭一郎がこれからどんな人生をおくるのか?おそらく誰もがこうした思いにとらわれるだろう。

Stars45

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