内田 康夫

2011年11月 7日 (月)

黄泉から来た女/内田 康夫

 天橋立で有名な京都府宮津市へ取材に訪れた浅見は、市役所職員の神代静香と知り合う。静香の案内で取材を終えたあと、二人は殺人事件に遭遇。被害者は2日前に静香を訪ねてきていた女性だった! 女性が、亡き母の実家と同じ山形県鶴岡市から来たと知った静香は、一人山形へ。静香の行動を心配した父親からの頼みで、同じく山形へ向かうことになった浅見を待ち受ける、「呪う女」とは――。

 Photo

 今回は天橋立と籠神社、羽黒山・月山修験道が舞台。月山、湯殿山、羽黒山は出羽三山と呼ばれ、修験道に基づく山岳信仰、祖霊信仰の山として栄えてきたところである。
 山野を駆け巡る修験者とそれを支える宿坊、悟りを得る土地で俗世にまみれた生臭い人間模様が繰り広げられ、現代の経営の現実が押しかける宿坊と興味深い話題が一杯である。

Stars35


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月15日 (土)

平家伝説殺人事件/内田 康夫

<内田康夫ベストセレクション>

 銀座のホステス萌子は、「三年足らずで一億五千万になる仕事」という言葉に誘われて偽装結婚した。だが、夫となった稲田教由は高知へと向かうフェリー「しーふらわー号」甲板から転落死を遂げ、萌子をそそのかした当山という男も二年後に事故死した。浅見光彦は、旧友の航海士・堀ノ内から依頼をうけ、稲田の郷里・高知県西土佐村藤ノ川へ。そこで光彦は平家一族の血を引く美少女・佐和と出会い、常ならぬ恋心を抱くのだが・・・・・・。巨額の保険金を巡る二つの事件の真相は?そして平家の落人伝説で名高い隠れ里に秘められた謎とは? シリーズ随一の名ヒロイン・稲田佐和が登場する不朽の名作。

 Photo

 『平家伝説殺人事件』は『後鳥羽伝説殺人事件』に続く「浅見光彦シリーズ」の第二弾である。光彦はこの作品の中であやうく結婚するところだった。ヒロインの稲田佐和と赤い糸で結ばれたように書かれているのである。実際、結婚するかであろう将来を予測させて、物語は終わっている。にもかかわらず、この後に出版された『赤い雲伝説殺人事件』では、光彦は臆面もなく別の女性と付き合い、佐和のことなどおくびにも出さなかった。実は、この時期の作品はあくまでも独立した形で書かれ、光彦も途中から登場する程度の人物として描かれていたのである。

Stars40

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月21日 (火)

風のなかの櫻香/内田 康夫

 平城遷都1300年に関連して奈良の尼僧について取材することになった浅見。その矢先、母・雪江より、奈良の名刹で、尼寺としても有名な「尊宮寺」へのお供を命じられる。渡りに船とばかりに引き受けた浅見だったが、尊宮寺で待っていたのはなんと事件の依頼だった。尊宮寺の跡継ぎになるかもしれない少女・櫻香を巡る事件を追って、浅見は鳥羽へ向かう。

 Photo
 Stars30

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月23日 (日)

不等辺三角形/内田 康夫

 歴史の闇に消された秘密の三角形。光彦は時を越えた謎を解けるのか?!
 不思議な漢詩が隠されていた“幽霊箪笥”。それを執拗に求めた2人が殺された……。
 名古屋、奥松島で起きた殺人事件を繋ぐもの。それは名古屋の名家に伝わる古い仙台箪笥だった。事件解明を依頼された浅見光彦は、箪笥から見つかった謎の漢詩に注目し、その意味するところを解こうとする。そんな中、ある閃きが光彦を襲う。
 
Photo

 作品の主たる舞台となっている『陽奇荘』というのは、名古屋市に実在する施設をモデルにしている。作中には『汪兆銘』という中国ばかりではなく、日本の昭和史にも記録されているほどの人物が登場する。また、実際にある中国の古い詩を借用したのもで、『陽奇荘』の名前の由来になっている漢詩も用いられている。
 作中には現実に存在するものが数多く出てくるため、事実と虚構の区別がつかなくなりそうである。しかし、本作はあくまでもフィクションである。そのことを踏まえた上で読むと、虚実ない交ぜたミステリーは楽しめる。

Stars35

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 2日 (日)

神苦楽島/内田 康夫

 秋葉原で若い女性の不審死に遭遇した浅見光彦は、出張先の淡路にて日本神話、民俗、古くからの習慣が絡み合う、不可解な殺人事件に巻き込まれる。やがて政治家の陰謀まで見え隠れし、事件の背後にある組織に光彦は戦慄するのだった――。

_ue

 古事記に描かれた「国産み」神話、伊勢や奈良の遺跡、淡路の「拝み屋」の呪詛、民間信仰などが登場する一方、官僚や政治家と大企業の癒着、怪しい団体まで描かれる傑作長編ミステリー。

_sita

Stars30

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月22日 (月)

教室の亡霊/内田 康夫

 深夜、中学校の教室で、かつて教鞭を執っていた男が殺された。黒板の前に横たわる被害者のポケットには、新人女性教師の写真が。机に向かわない生徒、自己中心的な保護者、自信を失った教師――浅見家の「落ちこぼれ」光彦が教育問題に直面する。

Photo_2

 人気の浅見光彦シリーズの最新刊。
 群馬のとある中学校の教室で男が殺された。被害者のポケットに入っていた写真の新人女性教師に嫌疑の目がかかる。モンスターペアレントに代表される、昨今の歪んだ教育現場に潜む魔力。かつての聖職たる教師も、いまや・・・。
 本作は、内田康夫が現代の教育現場にメスを入れるべく、浅見光彦を送り込んだ感じだ。これまで汚職などの政治がらみの話題をストーリーに織り交ぜるなど、作品ごとに多くの話題を提供してくれている、今回もまた、教育問題というホットなネタに取り組んでいる。デビュー30周年連続刊行の先陣をきったこの作品は十分にその役目を果たすインパクトを与えているだろう。

Stars35

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月28日 (水)

砂冥宮/内田 康夫

 忘れられた闘いの地で男は忽然と消えた――実業之日本社創業111周年特別書き下ろし作品。

 三浦半島の須賀家は文豪・泉鏡花の『草迷宮』の舞台のモデルとなった旧家である。浅見光彦は雑誌「旅と歴史」の取材で、須賀家を訪ね、当主の須賀智文から話を聞く。その須賀老人は、家族に「金沢へ行く」と言い残して家を出て数日後、石川県小松市の安宅の関跡で死体となって発見された。光彦は死の真相に近づくため、金沢へ向かうが、須賀老人の足跡は意外な場所で途切れていた……。



 img20091028.jpg



 本書、内田康夫定番の浅見光彦シリーズ105事件目となる旅情推理小説。話は文豪・泉鏡花ゆかりの地を巡るべく北陸・金沢を訪れた老人の不可解な死によって幕を開け、神奈川県横須賀市と石川県金沢市が舞台である。

 警察は老人が殺害されるまでの足取りを追うが、はっきりとしたことはわからない。 しかし、独自に調査をおこなっていた浅見は、ふとしたことから老人が金沢近郊の町・内灘までやってきていたことを知る。

 毎回、旅情溢れるミステリーでおなじみの浅見光彦シリーズだが、今回は少々趣が違い物語全体を覆っている雰囲気は重苦しさ感じる。また、お約束の恋愛模様と刑事局長の弟という身分バレのシーンがないのが寂しい。“細かく積み重なった謎に浅見光彦が挑む”というお馴染みのストーリー展開ではあるが、それでも読者は思わず謎に引き込まれ、飽きることがないのは、まさに著者の技量であろう。



stars-3-0-.gif


2009年4月21日 読破

| | コメント (0)

2009年8月 2日 (日)

壺霊/内田 康夫

 800年の時を生き“紫式部”と名付けられた壺に、心奪われる男たち、その犠牲となり恨みをのんで彷徨う女たち。浅見光彦は1200年の歴史に潜む闇の呪縛を断ち切れるのか。源氏物語千年紀に贈る文芸ミステリー。



 img20090802.jpg   img20090802_1.jpg



 京都の老舗骨董店・正雲堂の嫁である伊丹佳奈が失踪した。嫁ぐ際に持参した高価な高麗青磁の壺“紫式部”も消えている。残された唯一の手がかり、縁切り神社・安井金比羅宮の形代には、佳奈と夫の離縁を祈願する内容に、見知らぬ女性の名前と住所が添えられていた。その紫野の住所で浅見光彦が発見したのは、何と紫式部の墓。しかも、壺を“紫式部”と名付けた男は、7年前に変死しているという…。京都町家暮らしという条件に惹かれ、佳奈の娘千寿の依頼を引き受けた浅見は、いつしか怨霊や生霊の息づく古都の底知れぬ深みにはまっていたのだった。



stars-4-0-.gif


2009年1月11日 読破


| | コメント (0)

2007年9月20日 (木)

幻香(内田 康夫)

浅見光彦のもとに届いた1通の手紙から、芳香が立ち上った。差出人は、心当たりのない女性…。heart01 「4月10日午前9時、栃木市の幸来橋へきてください。でないと、私は死ぬことになります」だが、浅見を待ち受けていたのは2人の刑事だった。新進気鋭の調香師・戸村浩二殺人事件に巻き込まれた浅見は、被害者と手紙の差出人の接点を追って、10年前に殺害された天才調香師・国井和男の事件へとたどり着く。

華やかな香水の世界に潜む暗い闇、手探りで進む浅見の前に現れた3人の美女は、絢爛たる香りでいつしか名探偵の嗅覚をも狂わせていくが……。



 img20070920.jpg  幻香

icon



 いまから11年前、浅見光彦倶楽部の会員用機関紙である「浅見ジャーナル」紙上で、『例弊使街道殺人事件』というタイトルのリレーミステリーを大幅に改稿したものらしい。

 本作、華やかな香水をテーマに女性に弱い光彦がどう対処し解決していくのか?見ものだったし、話の進み具合も丁度良く楽しめる一冊だった。また、調香師という職業や、特許に関する内容が出てきたりして良い勉強になった。



stars-3-5-.gif




IMAGEnet

| | コメント (0)

2007年7月12日 (木)

長野殺人事件(内田 康夫)

 品川区役所に勤める直子が、税金の督促に行った先で預かった書類。だが、書類を預けた男・岡根は、ひと月後、長野県の遠山川で遺体となって発見される。さらに、岡根の死後、怪しい男が直子の前に現れるようになる。夫に相談した直子は、夫の友人である浅見光彦に事件の解決を依頼することになるのだが……。

 一方、岡根殺人事件を担当することになった「長野のコロンボ」竹村岩男警部は、岡根が現知事・秋吉のブレーンだったことを知り、事件に長野県が抱える深い闇があることに気づく……。



 img20070712.jpg   長野殺人事件

icon



 本書、田中康夫・元長野県知事をモデルに、長野オリンピック招致に関する使途不明金問題の疑惑を事件に発展させた社会派作品。

 今回もどこまでが本当の話でどこまでがフィクションなのか?を考えてしまうほど、上手く作られている。 しかし、今回は事件が起こるまでの前振りが長い。それに光彦登場までに時間をかけ過ぎている。だから今回の光彦はキャラが立ってなかったのだろう。いまひとつ物足りなさを感じる作品だった。weep



stars-3-0-.gif




セブンアンドワイ


| | コメント (0)