岸田 るり子

2013年7月24日 (水)

無垢と罪/岸田 るり子

 二十四年ぶりに開かれた同窓会で、僕は初恋の女性に再会した。美しい。でも彼女は何かが昔と違っていた。その翌日、僕は知る。彼女が既に死んでいたことを。同窓会の日、僕が語り、心惹かれた女性はいったい誰?(「愛と死」)。幼き日の無垢な想い、無邪気な罪が、時を経てもたらす哀しみの連鎖。『天使の眠り』で多くの読者の心を揺さぶった岸田ミステリー、待望の最新連作集。

 本作、ある殺人事件をめぐる連作短編集となっているが、時系列がバラバラなので多少戸惑うが、最初の2作はほぼ関係していることに気づく。
 驚愕
くするような謎はなく、読んでいたら大体想像がつく作品だ。まぁ読みやすい作品ではある。

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『愛と死』
1話は小学校の同窓会から始まる。
これ1作だけでもなかな良い話である。

『謎の転校生』
更に話がさかのぼり本屋の娘である主人公が、不思議な転校生を好きになってしまう。
このラストでの主人公の行動が思わぬ結果をもたらすことになる。

『嘘と罪』
更に時間がさかのぼり、謎の転校生の正体が描かれる。

『先入捜査』
『謎の転校生』の時点に話が戻る。
こちらは本屋の娘でなくて転校生の目線で書かれた話。

『幽霊のいる部屋』
これは『愛と死』に繋がる話。

『償い』
全部の話を繋げる話。

Stars40

 

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2012年6月19日 (火)

味なしクッキー/岸田 るり子

 別れを決意して「最後の晩餐」の支度をする女、高校時代の友人の自殺の真相を知りたがる女、不倫相手にクッキーを焼く女……。「どうしてあなたはわかってくれないのかしら」気鋭の描く「無垢と悪意」の後味は?

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 全編、ブラックな結末が待っている短編集全六編。いずれもイヤミスとして極上の魅力を放つ珠玉の逸品で、大いに堪能できる。

Stars35


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2011年12月26日 (月)

白椿はなぜ散った/岸田 るり子

 望川貴は幼稚園で出会った日仏混血の少女・万里枝プティに心を奪われ、二人は永遠の絆で結ばれていると確信する。小中高大学と同じ学校で過ごし、大学でも同じ文学サークルへ入会するが、そこで出会った大財閥の御曹司が万里枝に急接近する。貴は凡庸な容姿の自分とは違い、驚くほどの美貌を誇る異父兄・木村晴彦に、万里枝を誘惑するよう依頼する。貴の計画は成功するかに見えたが―。錯綜する愛憎。はたして真実の絆はどこに。

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 生涯ただ一人の女性への崇拝が嫉妬にまみれる時、悲劇の扉が開いた。10年後の殺人事件がきっかけとなり、最後の真実が明かされる。

Stars35

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2010年2月11日 (木)

Fの悲劇/岸田るり子

 絵を描くことが好きな少女・さくらには、不思議な力があった。空想で描いたはずの場所や物が、そのまま実在しているのだ。ある日描いたのは、月光に照らされ、夜の池に浮かぶ美しい女性の姿。大人になったさくらは、祖母から叔母の話を聞いて愕然とする。女優だった叔母・ゆう子は、20年前、京都の広沢池で刺殺されたというのだ。その死の様子は自分が昔描いたあの絵とそっくりである。さくらは、ゆう子が当時下宿していたというペンションを捜し出し、部屋を借りて叔母の死の謎を探ろうとする。次第に明らかになるゆう子の凄絶な人生。そして驚くべき死の真相とは……?

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 本作、映像記憶の能力を持つ主人公・さくらが、不可解な死を遂げた叔母の死の謎と、叔母の死とともに失踪した赤ん坊の行方を探すシーン、それと女優だった叔母・ゆう子のシーンが交互に語られていく。この二つのシーンが最後にどのような交わりを見せるのか、期待しながらページを捲り、読む進めて行きたくなる。京都を舞台に真相を追う姪に意外な展開が待ち受ける愛と絆を描いた作品である。
 この作品には叔母の死と赤ん坊の行方の二つの謎があるが、同じ比率で進んで行く。この二つの謎を解く暗号めいた遣り取りなど、伏線へと転じるあたりは実に上手い。ただ、不可能犯罪を織り交ぜた割にはミステリーとして捉えると、少し弱い感じがする。

Stars35

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2008年6月14日 (土)

めぐり会い(岸田 るり子)

 自分に自信がなく、家柄だけが取り柄だった華美は、見合いでひとまわり年上の医師と結婚したが、夫には長年の愛人がいて、鬱々とする毎日だった。

 ある日、ふとしたことから手に入った他人のデジカメの画像を見るうちに、華美はその中の見知らぬ美少年に惹かれていく。熱い感情を抑えきれず、画像から少年の家をつきとめた彼女は、そこで彼の恐ろしい犯罪を見つけ出してしまうが…sign01?

 愛されず、自立もできない無力な女が、「運命の出会い」をきっかけに変貌していく姿と、その驚くべき結末を描いた、奇跡のラブ・サスペンス。



 img20080614.jpg  めぐり会い

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 親に薦められ見合い結婚をしたが、愛情のない生活に疲れていた華美。妄想癖のある彼女が、十歳ほどは離れているとおぼしき年下の美少年に恋をする。一方、美少年は十年後、売れっ子ミュージシャンになってはいたが、鬱々たる日々を送り思いは過去へと遡っていくという。二つの章が交互に語られていく。

 著者が描く京都の町並みの描写は、今更いうまでもなく優れているが、それにも増して前作の“過去からの手紙”にも随所に描かれている料理の描写は秀逸である。特にムール貝を調理する場面での描写は、今にも美味しそうな香りが漂ってきそうで、思わず涎が出そうだった。

 今回の作品は、ミステリ的要素があまり強調されていない。少し残念ではあるが・・・ weep。 然し、“謎”と“事件”を巧みに取り入れ、読む者を飽きさせない作りになっている。なにより、ラストで明らかにされる劇的な出会いについて語られたとき、読者は著者に騙されていたことに気付くだろう。“天使の眠り”もそうだったが、騙されていたことに愕然とさせられ、『やられたぁ?』って感じで楽しめる作品に仕上がっている。



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2008年3月23日 (日)

過去からの手紙(岸田 るり子)

 一週間の沖縄合宿から帰ってきた純二。久しぶりの我が家で待っていたのは、奇妙な置き手紙と、腐ってもいないのに捨てられたシチュー用の肉、そして、数日前から母親が家に帰っていないという事実だった。

 ひとつひとつは取るに足らない、小さな違和感が積み重なっていく。それが不安に変わるころ、母が発見された。記憶を失って…。知れば知るほど不可解な母の行動と、増殖していく謎。

 美人だが、いつも一言多い幼なじみの静海の力を借りて、純二は母が失った空白の過去をたどる決意をする…。

 京都の町を自転車で駆けめぐる、個性豊かな高校生たちの活躍が楽しい、爽やかな青春ミステリー。



 img20080323.jpg  過去からの手紙

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 主人公の静海は、個性的な父親を持ったがゆえ、ノリが悪く、理屈で周りをやりこめ、幼なじみの純二にもうんざりされている。それでいて、本人は客観性に欠け自分のことはよく見えていない、愛嬌のある女子高校生。著者によれば、最近の人は物事を深く考えずに、簡単に情報に流されてしまいがち。そうじゃなく言葉の意味をよく考えて、つっかかってしまう不器用な子を登場させてみたいという、最近の若者を危惧した想いから主人公の静海を描いたらしい。

 本作は、今までとは違ったキャラクター作りになっていたし、純二静海の微妙に相手を意識した内面描写は見事だった。それから、作品の中で楽しそうに料理を作っているシーンの描写も良く、若者たちのワクワクした気持ちが伝わってくる。どの料理も美味しそうで食べたいという気持ちにもなってしまう。

 また、今回は「ミステリーYA!」からのリリースということで、ミステリーというよりも若々しい二人が繰り広げる青春ドラマという感じで読んだ方が楽しめる作品である。



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2007年12月24日 (月)

ランボー・クラブ(岸田 るり子)

 フランス語など習ったこともない不登校中学生の僕が、なぜ、サイト“ランボー・クラブ”のトップページに掲げられたフランス語の詩を読めるのだろうか?僕はいったい誰なのか?ある日、そのランボーの詩が書き換えられ、その詩が暗示する殺人事件が…。色覚障害の少年をめぐる事件の驚くべき真相。



 img20071224.jpg  ランボー・クラブ

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 昨今、学校へ行かない、あるいは行くことを拒否している子どもが増えている。昔も同じような子どもはいた。しかし、最近は少し違ってきた。行きたいのに行けない子どもがたくさんいるようだ。神経症タイプ、怠けタイプ、うつ病タイプもしくは無気力症タイプと様様である。原因を探し出し、それに合ったカウンセリングを受けることが必要だろう。そして一刻も早く復帰して欲しい。

 本書は、そういった人間関係にとけ込むことができなくなった少年を主人公にしている。この少年は、色覚障害であることを含め、自分に関わる不可解な謎を掘り起こしていくうちに家族からも追いつめられ、逃げ場を失いながらも自分自身を取り戻そうとする態が描かれている。そして、アルチュール・ランボーの詩「母音」に絡めた連続殺人事件の真相を女探偵が解き明かすというもの。

 著者によればこの作品、デビュー作である『密室の鎮魂歌(レクイエム)』よりも先に書かれたもので、非常に愛着があってどうしても埋もれさせたくない、という思いから大幅に改稿し、出版されたようだ。

 だからなのか?前作の『天使の眠り』に比べると伏線が弱すぎる。どんでん返しや『なるほど?』と唸らせるところがなかった。だが、全般的に云えば楽しい作品に仕上がっている。探偵事務所のメンバーの会話がコメディタッチに描かれていて、飽きるところがなかった。

 個人的には、次作“ミツイ探偵事務所”で続編を書いて貰いたい。



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セブンアンドワイ

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2007年1月 4日 (木)

天使の眠り(岸田 るり子)

 京都の医学部大学院に勤務する秋沢宗一は、研究室助手の結婚披露宴で、偶然ある女性を見かける。

 それは13年前、札幌時代に激しく愛しあった亜木帆一二三だった。不思議なことに、もう中年であるはずの一二三は20代の若さと美貌を持った別人となっていた。

 昔の燃えるような感情が甦り、どうしても彼女のことが忘れられない秋沢は、女の周辺を探るうち、驚くべき事実を掴む。彼女を愛した男たちが、次々と謎の死を遂げていたのだ…。



 img20070104.jpg 天使の眠り

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 1作目の “密室の鎮魂歌” は鮎川哲也賞受賞作品と云うことでよく出来た作品で面白かったが、2作目の “出口のない部屋” はイマイチだった。

 今回、著者にとって3作目となるこの作品。弥が上にも期待してしまう。



 本書、舞台は京都。別れた女性と再会したが別人になっていた為、周辺を探るうち彼女に惹かれていく主人公・宗一。そして、彼女の正体を知ることに…。

 著者は京都在住だけあって、京都の町並みの描写が優れていました。何より登場人物が少なくて読みやすかったですね~happy02

 また、プロットも然ることながら、男の心情をよく捉えた描写に感情移入してしまいました。男は、ミステリアスな女性に弱いですから…ね。

 ミステリー的にも良かったですsign01どんでん返し、とまではいきませんが前半にはられた伏線の効果もありラストでは『なるほど~』と思いました。

 エンディングも、こういった終り方が好きです



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2006年10月 7日 (土)

出口のない部屋(岸田 るり子)

 鮎川哲也賞受賞後の2作目となる作品sign01



 美貌の新進作家・仁科千里のもとに原稿を貰いに行った私、魁出版の香川

 「そう、この声だ。己の秘密を封じ込めて、その上から無造作に作ったような人工的なこの声。昔とちっとも変わっていない…。それにしても私に気づかないとは……。」

 私は名刺を差し出した。彼女はそれを自分のほうに引き寄せて一瞬目を細めた。それからもう一度私の顔を見た。

 「ああ、気がついたのだ。私に…」渡された原稿のタイトルは『出口のない部屋』。「読ませていただいていいですか?」彼女はロボットのように無表情のまま頷いた。

 それは、一つの部屋に閉じ込められた二人の女と一人の男の物語。免疫学専門の大学講師・夏木祐子、開業医の妻・船出鏡子、そして売れっ子作家・佐島響

 3人とも気がつくと赤い扉の前に立ち、その扉に誘われるようにして、この部屋に入ったのだった。そして閉じ込められた。angry

 「あなたたちは、どういう経緯でここにやって来たの?」。それぞれが記憶を辿り、部屋に来るまでを話し始める。

 なぜ、見ず知らずの3人は、この部屋に閉じ込められたのか? いったいこの3人の共通点は何なのか? 私の知りたかったことはすべてそこに書かれていた。そして、『出口のない部屋』の意味も明らかに…。



 img20061007.jpg 出口のない部屋

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 本作、プロローグで女性編集者・香川とホラー作家・仁科の再会で始まり、閉じ込められた3人の物語が交互に語られ、エピローグで交錯する物語を読み終えた香川と仁科の場面へと戻り、謎解きが始まります。



 途中、ダラダラと取り留めない話が続くので、つまらない作品だと思いながら読んでいましたが・・・。最後は3つの物語が繋がると云う構成で、まったく予期せね事で驚きました。happy01それに描写も優れていたと思います が・・・。しか~し、ミステリーとしてはイマイチ だし、「それは、ないでぇ~ちょっと強引やでぇ~」って所もありましたので・・・ ・・・



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2006年9月26日 (火)

密室の鎮魂歌(レクイエム)岸田 るり子

 第14回鮎川哲也賞受賞作品。2年前の作品で、どうしても読みたかった1冊です。しかも、初版本が手に入り、早速読むことに・・・。



 海外でも成功しているある女流画家・新城麗子の個展会場で掛けられた一枚の絵を見た一人の女・篠原由加が騒ぎ失神しかける。この画家が五年前に失踪した自分の夫・鷹夫の居場所を知っているはずだ、と云うのが彼女の不可解な主張だった。

 麗子の風変わりな一枚の絵・『汝、レクイエムを聴け』に描かれた骸骨が持つ旗の絵柄が、失踪した夫の刺青と同じだと言い張る由加。しかし、麗子とその失踪したと云う鷹夫に接点はなかった。

 五年前の謎に満ちた失踪事件…。 鷹夫が居たはずの部屋に残された青酸カリの空き瓶と青酸カリ入りのワインを飲んだと思われる空のグラス。だが・・・そこには誰もいないし、誰の死体もなかった。しかもその部屋は密室状況だったのだ…。shock

 そして、その失踪の現場だった家で五年後の今、再び事件が起きた。今度は密室殺人事件sign01 さらに密室殺人はつづく。

 問題の絵の中に描かれた不思議な模様に隠された、驚くべき真相とは?



 img20060926.jpg 密室の鎮魂歌(レクイエム)

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 本作、リストラされた商業デザイナーのヒロイン・麻美をはじめ登場人物も少なく、纏まっていたしプロット(筋・構想)の点でもよく考えられていました。また、舞台である京都の雰囲気が良く描写されていましたね~ happy02

 ラストでは、犯人自ら真相を明かすと云うのは奇抜でしたが、亡骸で骸骨を作るって云うのはどうかと思いますね~。でも、最近読んだ女流作家の作品は、ダラダラと回りくどくて引き込まれない作品が多かったのですが、今回は、そのような事もなく読み易く引き込まれる作品で良かったです。



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