三津田 信三

2011年7月19日 (火)

七人の鬼ごっこ/三津田 信三

 秘密の場所が結びつけた子供たち。彼らは成長し、それぞれの生活に追われていた。そんな中、懐かしい人物からの電話が、彼らが封印したはずの記憶を蘇えらせた。ひとり、またひとりいなくなる…。電話のベルは死の鬼ごっこの始まりの合図なのか?メンバーの一人であるホラーミステリ作家が、この不可解な事件に巻き込まれていく―。

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 「いのちの電話」にかかってきた一本の電話から、次々と何者かに殺される幼馴染たち。その中で、故郷の名家と、そこにまつわる暗い噂。かつて、その周囲で相次いだ事件…。諸々の要素を入れていくことで、常に飽きさせずに読ませていく工夫と伏線は流石である。

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2010年1月17日 (日)

水魑(みづち)の如き沈むもの/三津田 信三

 奈良の山中の村で、珍しい雨乞いの儀が行なわれるという、村に豊かな水をもたらす湖には水魑という神様がいるとも―。その儀式の最中、刀城言耶の眼前で事件は起こる。さらに儀式の関係者が次々に不可解な状況で殺されていく。二転三転のすえに示された真犯人とは…。
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 三人称で描かれた本書、序盤から中盤に懸けては雨乞いの儀式の説明や、儀式に関わる人たちの人間関係が語られ、事件が起きるのは中盤になってからである。これにはやや気怠さを感じさせられる。だが、事件が発生してからは読者にページをめくらせる面白さがある。
 衆人環視のもと密室状況下殺人という不可能犯罪の真相はシンプルかつ明快。なぜ、わざわざ儀式の際に殺すのかという問いにも、必然性のある答えが用意されている。伏線の回収は相変わらず見事なできである。
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2009年11月17日 (火)

凶鳥(まがとり)の如き忌むもの/三津田 信三

 瀬戸内に残る鳥坏島の秘儀、断崖絶壁の拝殿で行われる鳥人の儀。その儀式のさなかに巫女が消え失せてしまう。「大鳥様の奇跡」が、刀城言耶を震撼させる。書き下ろしシリーズ短篇「天魔の如き跳ぶもの」を特別収録。



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 本書、「厭魅(まじもの)の如き憑くもの」に続く刀城言耶シリーズ二作目である。

 怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は、瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。そこで島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる“鳥人の儀”に参加するが、儀礼中に巫女が消えてしまう。これは、大鳥様の奇跡なのか?はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?

 本書もまた、本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた作品となっているが、「厭魅の如き憑くもの」に比べホラー的要素は欠ける。しかし、ミステリー的要素はこちらの方が強く感じられる。密室状況からの人間消失の謎自体はよくあるものだが、そのトリックは独創的。巧みに張られた伏線を拾い集め、全ての謎が解き明かされていく様は圧巻である。

 特別収録されている短編「天魔の如き跳ぶもの」は、刀城言耶が学生時代に遭遇した事件。

 先輩の阿武隈川烏とともに“天魔”という奇妙な屋敷神を祀っている武蔵茶郷の箕作家にやって来た刀城言耶。そこの裏庭にある竹薮では、近所の子どもが足跡だけを残して消えてしまう、という奇怪な事件が起きたらしい……。



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2008年6月 3日 (火)

山魔(やまんま)の如き嗤うもの(三津田 信三)

 山魔に嗤われたら…終わり。忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。惨劇はそこから始まる。あたかもそれは六地蔵様の童唄のようだった。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろうじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者…。「あかじぞうさま、こーもる」そして……。消失と惨劇の忌み山で刀城言耶が「見た」ものとは…。怪奇幻想作家・刀城言耶シリーズ第四弾。



img20080603.jpg  山魔(やまんま)の如き嗤うもの

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 物語は、郷木靖美(ごうき・のぶよし)が書いた『忌み山の一夜』と題された原稿から始まる。ここでは“忌み山”に対する恐怖心が上手く描写されていて、ホラー的要素はここに集約されていると云ってもいいだろう。不可抗力とはいえ、郷木靖美が忌み山を侵してしまったことが、この禍々しい事件の発端となり、一家消失事件を皮切りに、六地蔵様の童唄になぞらえた連続殺人事件が起こる。

 ラストでは、刀城言耶の謎解きが披露される。これがまた、お決まりの二転三転、最後には大ドンデン返しときている。緻密に考えられた伏線の張り方や、それを収束するテクニックはお見事sign01 登場人物の名前と地名の読み辛さは依然残るものの、今まで以上に惹き込まれる作品だったのはいうまでもない。



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2008年3月 2日 (日)

首無の如き祟るもの(三津田 信三)

 奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか―。shock



 img20080302.jpg 首無の如き祟るもの

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 戦中戦後の古い因習に縛られた村を舞台に、旧家の跡取りを巡る斬首死体の連続殺人事件が起きる。伝承、呪術、儀式、祟り、と横溝正史を彷彿させるような巧妙で緻密な本格推理作品に仕上げられている。

 『厭魅の如き憑くもの』『凶鳥の如き忌むもの』に続く、刀城言耶(とうじょう・げんや)シリーズ第三弾となる本作、ホラー要素はかなり後退しているものの、前作に比べるとトリックも然ることながら、二転三転する謎解きには驚かされる。これも緻密に考えられた伏線の張り方にあるのだろう。そして、ラストの大ドンデン返しには感服させられる。

 しかし、読み易さという面では多少難があるかな・・・。weep



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2007年7月18日 (水)

厭魅の如き憑くもの(三津田 信三)

 憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女―。そして「僕」が遭遇した、恐るべき怪死を遂げてゆく人々と謎の数々…。shock 奇才が放つ、ミステリーとホラーの禍々しい結晶、ついに昇華。



 img20070718.jpg  厭魅(まじもの)の如き憑くもの

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 本書、憑き物村、神隠し村、案山子村と呼ばれる極めて特殊で閉鎖的な村の最も曰くのある谺呀治(かがち)家の上屋を舞台にして起こった一連の怪奇事件を、作家である刀城言耶(とうじょう・げんや)が解き明かすというもの。

 谺呀治家のカカシ様の障りではないかと騒がれ、被害者には組笠と蓑、そして何かが口に押し込まれている。横溝正史を彷彿させるような事件の起き方に引き込まれてしまう。ホラー作品なので所々に背筋がゾーっとする場面が有り楽しめた。ok

 ミステリー的には伏線が多数張られていて、なかなか考えられた作品だしプロットも確りしていた。最後の謎解きのシーンでは二転三転する場面が有り探偵役の頼りなさが目立つ。これは著者の意図したことだろうか?



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