乃南 アサ

2007年11月25日 (日)

いつか陽のあたる場所で(乃南 アサ)

 治療院の受付嬢、芭子29歳。パン屋のパート、綾香41歳。一見普通の生活を送る彼女たちはしかし、決して口に出せないある秘密を抱えていた――。警官の姿を見てはギョッとし、お年寄りの会話に加わってホッとする。ディープな下町・谷中を舞台に、大きな涙とささやかな喜び、そしてときどきハードボイルドな新生活が始まったsign01



 img20071125.jpg  いつか陽のあたる場所で

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 罪を犯し刑期を終えて、新しい生活を送るが、そう簡単にはすべてを過去に押し流すことなど不可能。毎日を地道に暮らす事だけで精一杯の日々。本作は、犯した罪に対する悔恨の情に駆られながら誠実に生きようとする女性を描いた作品で4つの短編連作からなっている。

 犯罪を犯したヒロインが、その後を東京の下町を舞台にユーモアを交え、一回り歳上の女性と寄り添いながら歩んでいく姿が印象的だった。また、彼女らが暮らす下町の雰囲気を醸し出す描写は流石だ。



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2007年4月23日 (月)

風の墓碑銘(乃南 アサ)

 東京・下町の解体工事現場から白骨死体が三つ。shock そして大家である徘徊老人の撲殺事件。真夏の下町を這いずり回ること二カ月あまり。中年の毒気を撒き散らす滝沢の奇妙な勘働きと、女刑事・音道貴子の大脳皮質は、「信じられない善意の第三者」でようやく焦点を結んだ。名コンビは狂気の源に一歩ずつ近づいてゆく…。



 img20070423.jpg  風の墓碑銘

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 本書、家屋解体現場から白骨遺体が見つかった事件を、所轄署勤務の音道貴子とベテラン滝沢刑事が追って行く。その捜査の過程で、さまざまな過去を持つ人物が登場する。両親を殺害された過去を持つヘルパー、認知症や公訴時効の延長、ひきこもり、といったキーワードが随所に盛り込まれた作品。

 「凍える牙」の主人公・音道貴子のシリーズ最新作で滝沢刑事とのコンビ復活作品です。本格ミステリーというより人間ドラマを舞台にした物語でした。女性である主人公・貴子が刑事としてだけではなく、一人の女性として恋愛や友情に苦しむといった、内面的な部分の表現がとてもリアルに描写されていました。また、音道と滝沢、お互い苦手意識を持ちながらも微妙に変化するやり取りの心理描写は凄く上手い。 ぐいぐいと読者を引き込んでいく作品でした。ドラマ化すれば、うけること間違いないでしょう~ happy02



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